【こんな症例も治ります シリーズ 334】 腸リンパ管拡張症 も 的確な診断と治療でコントロールします。

犬のリンパ管拡張症の内視鏡検査像です。 この白い箇所から病理検査をすると診断確定できます。

 

参照サイト:

https://bit.ly/360EPog

 

 

犬 メス 12歳

【 後ろ足を触ると痛がる、食欲が落ちてきた 】とのことで来院されました。

■ 足を痛がる時には、骨や関節の問題が主に考えられます。

■ 身体検査では、痛みが見られませんでした。 また、レントゲン検査でも異常は見られませんでした。

■ また、食欲不振は痛みから来ている可能性が高かったのですが、他に病気が隠れていないかをしっかり確認するために血液検査も併せて実施しました。

■ その結果、タンパク質の一種であるアルブミンという値が減少していました。

■ アルブミンが低下する原因として、腸から漏れる(蛋白漏出性腸症)、腎臓から漏れる(蛋白漏出性腎症)、肝機能不全、栄養不足、炎症が挙げられます。

■ そこで、まず炎症止めを飲んで、1週間後に再診で来て頂くこととなりました。

■ 再診時では「痛みはなさそう」とのことでした。 しかし、この日の血液検査では更にアルブミンが低下していました。

■ そこで尿検査とエコー検査を実施したところ、エコー検査で「腸リンパ管拡張症」を疑う所見が得られました。 本来この病気は内視鏡検査をしないと確定診断ができませんが、飼い主様が希望されなかったため、治療優先で行いました。 この病気の治療は免疫を抑える薬の内服および低脂肪食による食事療法が主体です。

■ この子の場合、アルブミンの低下具合が軽度であったため、まず負担の少ない食事療法を始めました。

■ 食事療法を開始してから、もう一度アルブミンを測定すると正常値に戻っていました。 今後は、定期的にアルブミンをモニターして悪化がないかを確認していきます。

■ この病気を放置すると、日に日にアルブミンが低下していき、いずれ下痢、腹水貯留など重篤な症状を呈してしまいます。

■ この子のように、症状を発症する前に病気を発見するためには、定期健診がとても大切です。 しばらく、健診していない場合、一度やってあげると良いですよ!

獣医師 湯本優希

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